クリニックブログ

2017.09.09更新

こんにちは!市川市行徳の杉澤デンタルクリニック行徳の杉澤です。

 
 急に前触れもなく歯が痛くなったり、前々から違和感はあったんだけど痛みが増してきた!など、歯の痛みを経験されたことがある方は比較的多くいらっしゃると思います。そして、歯の痛みは強烈であり、我慢できなかったり、痛み止めが効きにくかったりします。今回はその歯の痛みの原因と治療法について書いていこうと思います。


【歯の知覚機構】
まず体の表面感覚には下の5つの感覚が存在します。
〇 触覚(触られた感覚)
〇 圧覚(押された感覚)
〇 冷覚(冷たさの感覚)
〇 温覚(温かさの感覚)
〇 痛覚(痛みの感覚)

 ある刺激をそのつかさどる感覚の神経の末端(一番先端)のセンサーが感知し、その信号を脳に伝達して、感覚がわかる仕組みになっています。


 痛覚のセンサーが多い場所は痛みを感知しやすいし、逆に少ない部分は痛みを感じにくい部位ということです。肘の裏などは痛覚が少なく、つねっても痛くないですよね!?


 また、その感覚を感知する神経のセンサーはそれぞれの感覚によってことなり、またその神経の太さなどもそれぞれ違います。神経の太さなどによって、その感覚がわかるスピードなども変わってきます。太い神経ほど早く伝わります。(スピードが速い順序=神経が太い順:触圧覚→冷温覚と強い痛覚→痛覚)


 また、細い神経ほど他の影響も受けやすく、例えば歯を抜く時の麻酔で痛みは抑えられますが、抜かれている感じや押される感じは残ることを感じた経験ございませんか?歯科医からも抜歯時に「押されている感じはありますよう」と言われたことはないでしょうか?痛覚をつかさどる神経は細く麻酔の影響を受けやすいため、痛みは感じないが、太い神経の触圧覚はやや影響を受けずに残るためです。


 そして、歯の中にも神経がありますが、実はそこには痛覚をつかさどる神経しかないのです。触られた感じや冷温覚の神経は存在しておりません。

 
 でも、歯を触った感じや押される感じはあるのでは?と思われるかもしれませんが、それは歯の周りの歯根膜という歯周組織に存在し、その感覚をお覚えます。歯が浮いた感じなどは歯周病や根の病気など歯の周りの炎症が原因で感知していることが多いのです。

 
 でも冷たいものや温かい感じはどうなの?とも思われるかもしれませんが、熱の刺激は歯の象牙質の中にて水の動きで神経に伝わりますが、結局痛覚として感知します。冷たいものや熱いものはしみるという痛みとして感じますよね?

 
 歯の中にある痛覚にも二つの種類があり、鋭い痛みを感じとるAδ神経線維という神経と鈍い痛みを感じとるC神経線維があります。(太さ:Aδ>C)Aδ神経線維が感知すると強く鋭い歯の痛みとして感じ、C神経線維が感じ取ると、ジワジワくる鈍痛として感じます。


【歯の痛みの特徴】

◆ 何もしなくても痛い!!

〇虫歯

 歯の中に細菌の感染が強く認められると、何もしなくてもズキズキ痛みます。虫歯が進行し、ついには歯の内部の神経のある部屋にまで、虫歯が到達してしまうと強烈な痛みが襲ってきます。自発痛といい、なんの刺激もないのに生じる痛みがある場合はやや進行していることが予想されます。
<治療>
 ここまで、強い痛みがある場合は、神経をとる治療が必要なことが多いです。レントゲンや他の検査もしてからの総合的な判断になりますが、虫歯が原因で強く痛む場合は神経をとらなければならないことが多いです。

〇根の病気
 もし、神経がない歯なのに強い痛みがある場合は、根の病気が原因かもしれません。神経がない歯、または神経が死んでしまった歯の中で細菌が繁殖すると歯の根の先端に膿ができてきます。慢性的な病変なので症状がなく進むことが多いですが、免疫力の低下などが引き金になり、急に強烈な痛みが出てしまうことがあります。でもまた、慢性に戻り、症状が落ち着くこともありますが、原因を取り除かないと、また急性に転化し痛みが襲ってくることが予想されます。
<治療>
 根の中の細菌を取り除く治療である根管治療が必要です。根の中の細菌が減少すると、膿はなくなり症状も落ち着いていきます。神経が残っているかどうか、十分な検査をする必要があります。痛みが強い場合、抗生物質を服用することもあります。


◆ 冷たいものや温かいものでしみて痛い!!

〇虫歯
 特に冷たいものでしみるときは虫歯の初期症状であることが多いです。また、温かいものがしみるときは虫歯がやや進行していることが多いです。冷たいものがしみるようになったら早めに虫歯がないか歯科医院にて検査するのが賢明です。
<治療>
 まだ、神経まで達していないようなら、虫歯を取り除き詰め物にて歯の形を回復させます。しかし、虫歯がなくてもしみる場合がありますので、検査を行い鑑別診断が必要です。

〇知覚過敏
 虫歯ではなくても特に冷たいものがしみる場合があります。知覚過敏です。歯茎がさがったりすると、今まで覆われていた歯質(象牙質)が露出し、神経までの距離が短くなったり、象牙質はエナメル質より神経までの刺激を通しやすいため、冷温刺激で痛みとして感じます。しかし、それは一過性で自然に治癒することもあります。
<治療>
 その症状の強さにもよりますが、自然に治ることもあるため経過観察にて様子を見る場合や、象牙質の細かい管を塞いで刺激が伝わりにくくするためのしみ止め剤や知覚過敏用の歯磨剤を用いることが多いです。しかし、歯がえぐれていたり、症状が強い場合は樹脂をしみる部分に張り付けて、刺激を遮断させる治療も行います。歯茎がさがる原因として歯周病があります。もし歯周病が認められたらさらに歯茎が下がっていきますので、歯周病の治療が必要になります。


◆ 咬むと痛い!!

〇根の病気
 神経がない歯で根の先端に膿をもっている状態では、噛むことで歯に咬合力がかかり、その力が根の先端に伝わり痛みが生じる場合があります。
<治療>
根管治療により根の中の細菌を取り除く必要があります。細菌が減少すると根の先端の膿は治癒しもともとあった骨に回復し、咬んでも痛くない状態に戻ります。


〇歯周病

 歯の周りの組織に細菌の感染により炎症が波及し、歯周組織の破壊が生じます。進行することにより歯をさせる骨の吸収も生じ、歯にかかる咬合力に耐えられなくなり、痛みが生じる場合があります。
<治療>
 歯の周りに付着した感染の原因である歯石やプラークを徹底的に取り除きます。感染が収まることで、歯肉の炎症は収まり、腫れた歯肉は引き締まるなど、歯周組織が健康な状態を取り戻すことで、咬んでも痛みが生じなくなります。しかし、重度に歯周病が進行していしまうと、破壊された歯周組織は咬合力に耐えられなくなり得るため、そうなる前の歯周治療が必要です。

◆ 就寝前に痛くなる!!

〇進行した虫歯
 就寝前の痛みが出た場合は、虫歯が進行し歯の中の神経に近いまたは神経に感染している可能性があります。急性化膿性歯髄炎といい、神経(歯髄)に細菌が感染し化膿を起こす炎症が生じます。就寝前の強烈な痛みを特徴とし、痛み止めも効かず眠れないこともあります。
<治療>
 神経が感染し炎症が歯髄全体に波及している場合は、神経をとる(歯髄の感染を取り除く)必要があります。この治療で強かった痛みが嘘のようになくなることも多いです。


〇根の病気
 根尖に慢性的に蓄積された炎症が急性転化することにより、就寝前に強く痛むことがあります。神経がないまたは神経が死んだ歯に生じます。
<治療方法>
 根管治療により、根管の中の細菌を取り除く治療を行います。

◆ 歯茎が腫れて痛い!!または歯茎のところを押すと痛い!!

〇歯周病
 歯周病は歯の周りに細菌の感染が生じ歯周組織に炎症が波及する病気です。歯茎からの出血や腫れが初期の症状とみられますが、痛みとしては生じにくい特徴があります。しかし。その進行により歯を支える歯槽骨が吸収したり、歯の周りに膿(歯周膿瘍)ができたりすると歯茎の重い鈍痛が生じることもあります。歯に近い部分の歯茎を押すと鈍い痛みを覚えることもあります。
<治療>
 歯周病の治療が必要です。歯の周りに沈着した歯石やプラークを徹底的に除去し、また再度付着しないようにしなければなりません。破壊された歯槽骨は元に戻りにくいため取り返しのつかない状態になる前に早めの検査と治療が重要になります。

〇根の病気
 根の先端にできた膿が歯槽骨を突き破って歯茎に出てくる場合があります。そこはプクっと歯茎が盛り上がり、その頂点の穴から膿が出てきます。そこを押すとやはり鈍痛が生じます。やや歯と離れた歯茎に出てくる特徴がありますが、歯周病との鑑別診断が必要です。

◎まとめ
 歯の痛みは見えないところで、かつ強い痛みを伴うことが多いので我慢できないことが多いです。そうなる前に、治療することで強い痛みが出てくるのを防ぐ必要があります。虫歯や根の病気、歯周病など進行する前の予防や治療が重要です。
 症状がなくても定期的に歯科医院にて検診やメンテナンスを行い、痛みのない健康なお口を長期的に保ちましょう!

杉澤デンタルクリニック行徳
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