クリニックブログ

2017.02.21更新

歯周病

こんにちは!市川市行徳の杉澤デンタルクリニック行徳の丹治です。

今回は歯茎が腫れる原因となる「歯周病」について書いていきます!


 日本人の成人の80%以上が歯周病であると言われています。また、身体のすべての疾患の中で世界的に見て最も患者数が多い病気が歯周病なんです。ギネスにも認定されています。


 日本人で一番歯を失う原因も歯周病で、残念ながら先進国の中でも日本は歯周病患者が多い国になってしまっています。その理由として考えられることに、定期検診やメンテナンスの受診率があります。日本では定期的に歯のメンテナンスや検診で受診している割合は16%ぐらいで、アメリカでは約70%、スウェーデンでは80%と大きな差が出ています。


 歯周病を予防するためには定期検診やメンテナンスが必要不可欠です!


◎歯周病の原因


 歯周病の大きな原因はデンタルプラーク(食べかすなどを利用して作り上げた細菌が集まったお家のようなもの)です。

 プラーク1mg中には細菌が10億いると言われています。

 そのプラークが歯についたままの状態になると、だいたい2日間で唾液中のカルシウムやリンと結合し、皆さんよくご存知の歯石という硬いものへと変化します。歯石そのものは固くなってしまい細菌の棲み処ではないですが、歯の表面に比べるとザラザラでまたプラークが付きやすくなってしまいます。その結果、歯石がどんどん大きくなり細菌の棲み処も大きくなります。

 その歯石にも二つの種類が存在します。縁上歯石と縁下歯石です。

〇縁上歯石は目に見える歯石で、歯肉の縁より上に存在します。つまり、目に見える歯肉から出ている部分の歯に沈着した歯石です。その歯石は歯と似た色を示し、その量が多くなると歯と歯茎の間を塞ぎます。これにより、歯茎の中の歯周ポケットの中は酸素が薄くなり、酸素を嫌う嫌気性菌が歯周ポケットで増えていきます。歯周病原因菌は嫌気性菌です。歯周ポケットの中で感染が生じ、歯周組織は破壊されていきます。

〇歯周ポケットが感染により破壊され深くなると、そのスペースにも歯石が沈着します。それが縁下歯石です。血液成分を含み暗褐色色を示しますが、ポケットの中なので目には見えません。縁上歯石よりも硬く強固に歯の根にくっつき取るのも容易ではありません。しかし、この縁下歯石には多くの歯周病原因菌が付着している為、この縁下歯石を取り除く必要があります。


◎歯周病の進行


1 歯と歯茎の間にプラークが残ると、まず歯茎に炎症を起こします。→歯肉炎

2 それを放置しているとプラークが歯石に変化します。歯石が溜まるとさらにプラークが付き易くなります。多量のプラークの中にいる細菌によって、歯茎の炎症が進行し、歯茎と歯の間にある歯肉の溝が深くなり歯周ポケットとなります。→歯周炎の始まり

3 歯周ポケットの中に歯石ができ、プラークがたまり、そのまま放置しておくと歯周病原菌による炎症によって歯のまわりの組織の崩壊が起こります。→歯周炎の進行


4 さらに放置しておくと歯を支えている周りの骨が大きく溶けて、支えがなくなった歯はぐらつき始め、抜けてしまいます。


 このほかに全身疾患やストレス、ホルモン、服用している薬、喫煙、元々の嚙み合わせ、被せ物の適合が悪いなどが影響して歯周病の進行がより進行してしまう様々な原因があります。
※女性ホルモンが好きな歯周病を悪化させる細菌がいます。だから、女性ホルモンが多い思春期や妊娠期に歯周病が進行しやすいので注意が必要です。


◎歯周病の検査
・レントゲン診査
 目には見えない歯の内部や骨の状態を調べる為にレントゲン写真を撮ります。
・歯周ポケット診査
 歯と歯茎の間にある歯周ポケットと呼ばれる溝の深さを測定していきます。2~3㎜は健康な歯肉といえますが4㎜を超えてしまうと健康な歯肉とは言えなくなってしまいます。ポケットは深ければ深いほど歯周病が進行している可能性が高いことになります。
・細菌検査
 細菌には悪い細菌と常在菌がいるため、歯周病を悪化させる悪い細菌がいないか検査することがあります。

・虫歯の検査

 虫歯あるとそこにプラークが停滞し、歯周病になりやすくなってしまいます。歯周病の治療における初期治療には虫歯の治療も含まれます。虫歯のないツルツルした歯の表面はプラークが溜まりにくく、また付着したプラークもブラシで取れやすくなります。

・歯の動揺度

 歯のグラつきを検査します。歯周病により歯を支える骨が破壊されれればされるほど歯は支えを失いぐらつきます。

・プラークの付着状況

 プラークを染め出し検査します。プラークコントロールレコード(PCR)を検査します。ご自身で磨いた歯にプラークがどれだけ残っているのかをチェックし、割合が大きいならば、歯ブラシや歯間ブラシなどを用いて磨く残しをなるべく減らす歯ブラシ方法を習得します。


◎歯周病の治療法
 徹底的に、原因であるプラークと歯石の除去を行います。その除去の一番の主役は患者さん一人一人です!なぜなら一番磨く人が患者さんご本人だからです。しかし、自分ではとれない歯石や深いポケットの中などは歯科医院で専門家にとってもらう必要があります。このように、患者さんと歯科医院との協力があってこそ歯周病の治療と予防が成り立つのです。

 まずは、初期治療を行い、ついてしまった歯石やプラークを徹底的に取り除きます。それと平行して、ご自身でのブラッシングをPCRなどを参考にして、磨き残しを減らすようにします。

 また、磨き残しができてしまうような環境(詰め物が不適合、歯と歯の間に物が詰まりやすいなど)があるならば、そこを改善します。


◎歯周組織の再生療法
 全体的(水平的)に失ってしまった周りの骨は、元に戻れません。部分的(垂直的に)に失った部分は再生療法で歯の周りの骨の再生ができる場合があります。色々な方法があり、歯を支える骨がどのように溶けたかその状態での適応が異なります。その条件は、先ほどの検査で調べて適応になるかならないかの判断になるため、かかりつけの歯医者さんに相談してみてください。


◎まとめ
 歯周病によって歯を失ってしまうことが最も多いです。言い換えれば歯周病を予防できれば長く自分の歯で美味しくごはんが食べられる可能性が高い!ということです。歯周病は虫歯と違って症状がわかりにくく、気づいたら進行していたなんてことが多い病気です。

 ずっとおいしく食べられるように、定期的に検診やメンテナンスをして自分の歯を歯周病から守りましょう!

 杉澤デンタルクリニック行徳では歯周病の予防や治療に力を入れております。お気軽にご相談ください!

杉澤デンタルクリニック行徳
千葉県市川市行徳駅前2-17-2 T.NKビル2F
047-317-4908

2017.02.19更新

歯茎の腫れ(根の病気)

こんにちは!市川市行徳の杉澤デンタルクリニック行徳の石丸です。

寝て起きただけなのに歯が急に痛みだしたことはありませんか?
舌で触ってみて変な感じがするから、鏡で見てみたら少し腫れている気がする…。
腫れてきてなんか重く痛い気がする…。
そんな経験をされた方もいらっしゃると思います。

◎歯が原因の歯茎の腫れには大きく二つあります。
①歯の周りに原因があって、歯茎が腫れる歯周病(歯槽膿漏)です。
②歯の中に原因があって歯茎が腫れる根の病気です。
恥ずかしながら私自身も当院がオープンしたばかりの昨年末にいきなり歯の痛みに襲われて、根の病気が原因だったので、今回は原因②の歯の根っこの治療についてお話したいと思います。

◎根の病気の原因
根の病気の原因は簡単にいうと細菌です。
通常、歯の中には細菌はいません。神経のある部屋には血管もあり、細菌をやっつける免疫システムがあるからです。しかし、以前虫歯がひどく神経をとってしまうと、歯の中には細菌をやっつけてくれるシステムもなくなってしまうのです。
 神経を取る治療で残念ながら細菌が多く残ってしまったりすると、根の中で細菌が繁殖していきます。さらに増えた細菌は根の先端の穴(もともと神経や血管が根の中に入ってくる穴)から出てさらに増殖しようとします。根の中にはない免疫システムですが、根の周りには顎の骨や神経血管が存在しますので、根から出てきた細菌とからだの免疫が根の先端で戦うことになります。そうして、根の先端の組織が荒れてきて、膿ができてしまうのです。

 

 歯の神経にまで進行している虫歯のことを“C3”と呼びます。
虫歯には5段階あるのですが、C3は5段階中の4段階目の虫歯になります。
(※C3とは歯のエナメル質、象牙質と呼ばれるところのさらに奥の歯の神経などがある「歯髄」と呼ばれるところにまで虫歯が進行してしまった状態のことを言います。)
C3まで進行した虫歯は歯の根っこの治療(歯科では根管治療と言います)が必要になります。

〇根管(こんかん)治療(ちりょう)を必要とするときはどういうとき?
1) 虫歯が進行して歯髄と呼ばれる歯の神経までいっちゃったとき
2) 歯をぶつけて歯の神経が死んでしまって腐って歯の根っこの先に細菌がたまって噛んだ時に痛むとき
3) 目にはみえないが、歯の根っこの先に膿が溜まっていて、疲労などで体の抵抗力が下がった時に歯茎が腫れて痛みがでているとき
4) 歯の神経が死んで時間が経つと根の先に歯根嚢胞(しこんのうほう)という大きい膿の袋ができているとき
5) 歯の根っこの先に膿が溜まって歯茎に白いできものができているとき

〇根管治療の方法は…?
細菌によって汚れた根っこの中を針のようなものや根の中をお掃除する器具でこすり落とします。根っこの治療をするとき唾液などが入ると細菌がなくなりにくいので、当院ではゴムシートで守りながら治療を行います。
※ 唾液1mlの中に細菌が1~10億いると言われています ( ゚Д゚)

根っこの中の汚れは一度じゃ落としきれないので、何度か消毒を繰り返しながら根っこの形も整えていきます。そして根っこの中が綺麗になったら最終的なお薬を根っこの中に厳密に詰めて、細菌が今後繁殖するスペースをなくします。詰めたものがきちんと入っているかレントゲンを撮って確認したら根っこの治療は終了となります。

 

〇根管治療中注意する点
① 治療間隔をあけすぎると中にいる細菌が増えてしまい、根のまわりの骨が溶けてしまって抜歯をしなくてはならない場合もあるので、治療間隔はあまり開けないようにお願いしています。(目安は1週間ほど。)
② 根っこの治療を行うときは麻酔を使います。歯の中に神経はありませんが、根の先の神経が感知して痛くなる可能性があるからです。麻酔が切れていない状態でお食事されるとやけどの原因になる可能性があるので、麻酔がきれてからお食事していただくようお願いしています。

◎まとめ
 根管治療は虫歯の治療の中で通院回数が比較的長くかかってしまうことが多いです。神経を取らなきゃいけなくなるような大きい虫歯を作らないためにも歯の健康を守っておいしいお食事をされるためにも、定期的に歯医者さんでメンテナンスをされることをオススメしています。
また、歯茎が腫れる原因が根の病気ではなく、歯周病が原因の時もあります。歯茎が腫れたと思ったら、かかりつけの歯医者さんに早めに相談してください!

 杉澤デンタルクリニック行徳では歯周病だけでなく、根の治療も積極的に行っております。お気軽にご相談ください!

杉澤デンタルクリニック行徳
千葉県市川市行徳駅前2-17-2 T.NKビル2F
047-317-4908

2017.02.08更新

親知らず

 

こんにちは。市川市行徳の杉澤デンタルクリニック行徳の杉澤です。

 

 親知らずの痛みは辛いですよね。急に前触れもなく突然襲ってくる親知らずの痛み。僕はちょうど二十歳で経験したのを強く覚えています。ズキズキ痛く、食事もままならない。虫歯の痛みと違ってすぐにはよくなりません。そういった経験をされた人も多いと思います。


 では、なぜ親知らずが痛くなるのでしょう? 

◎親知らずとは


 親知らずは一番前の歯から数えて8番目に存在する歯で、歯科では親知らずのことを8番とか第三大臼歯や智歯といったりします。

 個人差はありますが、だいたい18歳ぐらいから生えてくることが多く、親元を離れて出てくるから親知らずとも言われています。

◎親知らずの痛みの原因


 まず、親知らずの生える方向が痛む原因の1つになります。
そもそも。一番奥にあって、見えづらく磨くのが難しいのも大きな原因ですが、それを助長させるのが生え方です。前側に傾いて生えて来た時、手前の7番目の歯とぶつかって生えてくることができず、そこのぶつかったところに汚れがたまりやすくなってしまいます。その汚れが取れずに停滞することで、周りの歯茎に炎症を引き起こし親知らずの周りの歯茎が腫れて痛くなってきます。また、その汚れが原因で歯茎だけでなく手前の歯を巻き込んで虫歯になってしまい強い痛みが襲ってきてしまいます。傾いて生えてしまうことで、親知らずは生え切らず、汚れが溜まる部分は目には見えない歯茎の中に存在するため、ご自身でのブラッシングでは汚れを除去するのに限界がある場合があります。
 逆にまっすぐ手前の歯と平行に生えて来た時は汚れがたまるスペースが小さくなり、また汚れが溜まる部分が歯茎の中ではないため、問題が起こりにくくなります。

◎親知らずの検査


 レントゲンで撮影することによって、親知らずの生えている方向がわかります。歯茎に覆われて、生えていないように見える場合があるので、もし親知らずが痛まない場合でも、親知らずの手前の歯の歯周ポケットのチェックを行い、今後問題が起こるリスクも検査してもらうとよいでしょう。

 また、下の親知らずを抜歯するときに大事になってくるのが、下あごの骨の中にある太い神経や血管が走行している下顎管と親知らずの位置関係です。近ければ近いほど、抜歯時に神経への物理的な圧迫などが生じ、知覚麻痺がおこるリスクがあります。通常のレントゲンでは2次元での検査になるため、上下左右の距離はわかるものの、前後的な位置関係はわかりません。そこで、CT撮影を行い、親知らずと下顎管との位置関係を3次元的に検査することもあります。

 

◎親知らずの治療法

 残すメリットと抜くメリットを考えてから治療します。生えているからといって、きれいに生えて問題を起こさなさそうであれば僕は抜歯しないで保存することをお勧めしています。

◎親知らずを抜歯する場合。


 手前に傾いて居た場合、残すことによって手前の歯とぶつかったところに汚れがたまってしまいます。手前の歯の奥の部分から虫歯が進行してしまい、手前の歯までも抜かなきゃいけなくなる危険が及んだりするようなら抜歯したほうがいいでしょう。親知らずが虫歯になるならまだいいとして、手前の歯までも抜かなきゃならなくなるのはどうしても防がなくてはなりません。
 抜歯においては、状況にもよりますが通常クリニックで抜歯することが多いでしょう。下の親知らずの根っこの先端が下あごの中を走る神経と接触している状態では、抜歯時に神経の損傷がおこる可能性があるため、大学病院の口腔外科に紹介してもらい抜いてもらう事もあるかもしれません。(全身麻酔ではありませんし、通常入院はしません)
 通院期間は抜歯の次の日に消毒をして、1週間後に縫った糸をとって、様子を見ることになります。特に下の親知らずは腫れたりすることが多いので、抜く日を慎重に決めたほうがいいでしょう。大事なお仕事やプライベートでの行事の周囲2週間ぐらいは避けたほうがいいかもしれません。費用は保険の範囲内で治療できますので通常は数千円のご負担になることが多いと思います。

 

◎親知らずを残した場合 

 親知らずを残した場合のメリットとしては、もし他の奥歯を抜かなければいけなくなった場合には、残した親知らずを移植して、その歯の代役に出来る可能性もあります。
 例えば親知らずの2つ手前の歯の虫歯がひどく抜歯せざる得ないとき、抜いた6番目の部分に親知らずを抜いて、移植して使える場合があります。絶対できるとは限りませんので、かかりつけの歯医者さんと相談してみる必要があります。


 しかし、やはり磨きにくいのが親知らずです。磨き残してしまい、手前の歯を巻き込んで虫歯になったり、歯周病になったりしないようしなければなりません。親知らずがなければ、磨かなくてもベロやほっぺの動きで自然に取れるような汚れも残ってしまうこともあるからです。
 

ちなみに・・・
歯の中で一番寿命が短いのが親知らずの手前の歯なんです。負担も大きく磨きにくいのが原因と考えられています。

◎まとめ


 少しでも親知らずの問題が大きくなる前に定期的にクリーニングしてもらうことが重要です。リスクが大きいなら早く抜くかどうかを、かかりつけの歯医者さんで相談しましょう。
 杉澤デンタルクリニック行徳では、親知らずと下あごの中を走る神経の位置関係を3次元的に検査できる歯科用CTを完備しております。また、親知らずの抜歯の必要性を検査し、抜歯が必要か否か相談させて頂いておりますので、お気軽にご相談ください!

杉澤デンタルクリニック行徳
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